「売上」と「信頼」を掴む! Webと紙媒体でデザインを統一するメリット
デジタル化が進む現代、企業や店舗がユーザーと接点を持つチャネルは多岐にわたる。
Webサイト、SNS、デジタル広告といったオンラインチャネルに加え、チラシ、パンフレット、名刺などの紙媒体も依然として重要な役割を担っている。
これらのチャネルを効果的に活用し、ユーザーに一貫したブランドイメージを提供するためには、Webと紙媒体のデザイン統一が不可欠だといえるだろう。
今回は、Webと紙媒体でデザインを統一することで生まれる多数のメリットについて紹介していきたい。
INDEX
デザイン統一がもたらす効果
デザインの統一は、単なる見た目の問題だけではない。
そこには、「強力なブランディング」と「優れた顧客体験の創出」という、企業や店舗にとって計り知れないメリットが秘められている。
1. ユーザーの混乱を防ぎ、認知度と信頼感を高める
ユーザーが企業や店舗を認識する際、最初に触れるのはロゴやカラー、フォントといった視覚的要素だ。
もしWebサイトとパンフレットのデザインが全く異なっていたら、ユーザーは別の会社の情報だと誤解したり、ブランドに対してちぐはぐな印象を抱いたりするだろう。
近年のユーザーは、Webと紙媒体をシームレスに行き来しながら情報を収集している。
たとえば、SNS広告で興味を持った店舗のWebサイトを訪れ、さらに詳しく知るために資料請求をしてパンフレットを受け取る、といった流れも珍しくない。
この一連の体験においてデザインが統一されていれば、ユーザーはどの媒体に触れても「あのブランドだ」と即座に認識し、迷うことなく情報収集を続けることができる。
ブランドコンセプトがブレないよう、ホームページやSNS、ブログといった多様なチャネルを通じて、同じメッセージを、同じ見せ方で発信し続けること。
それがユーザーに対する誠実な「約束」となり、基本的な信頼の礎になるといえるだろう。
2. 一貫したブランドイメージで、ユーザーの心を掴む
基本的な信頼を獲得した上で、次に重要になるのが「らしさ」の構築、すなわちブランディングである。
これは単にロゴを作ることではなく、ユーザーの心の中に「このブランドは、こういう存在だ」という特定のイメージを定着させる活動に他ならない。
この一貫したイメージを視覚的に表現する最も強力な手段の一つが、「デザインの統一」だ。
たとえば、高級感を打ち出すブランドであれば、Webサイトもパンフレットも上質で洗練されたデザインで統一することで、ユーザーは触れるたびにその世界観に浸ることができる。
逆に、親しみやすさを重視するなら、どちらの媒体もあたたかみのあるデザインにすることで、安心感や親近感を育むことができるだろう。
このようにブランドイメージが統一されていると、ユーザーはブランドに対して安定した感情や期待感を抱くようになる。
そしてそれは、単なる信頼を超えた「愛着」、すなわち顧客ロイヤルティの構築へとつながる重要な要素なのである。
3.デザイン制作の効率化とコスト削減を実現する
Webと紙媒体のデザイン統一は、一見すると手間や費用がかかるように思えるかもしれない。
しかし、長期的には制作効率の向上やコスト削減につながる可能性を秘めている。
たとえば、統一されたデザインガイドライン(ブランドガイドライン)があれば、Webサイトの更新や新しいチラシの作成時に、ゼロからデザインを考える必要性がなくなる。
すでに定まっているルールに沿って制作を進められるため、デザインにかかる時間と労力を大幅に削減できるのだ。
また、ガイドラインがあることで、デザインの品質を均一に保ちやすくなるのも大きな利点の一つ。
デザインの方向性が明確であれば、デザイナーや担当者の作業効率も向上するといえるだろう。
さらに、Webサイトで使用した写真素材やイラストを、紙媒体にそのまま活用できるというメリットも。
これにより、新規で素材を制作するコストを抑えることが可能になる。
4. 組織の意識を統一し、ブランドを内側から強化する
Webと紙媒体のデザイン統一に取り組むことは、企業や店舗で働く従業員のブランディングに対する意識を高めるきっかけにもなる。
「顧客にどのようなブランドイメージを伝えたいか」「ターゲットは誰か」「発信すべきメッセージは何か」といった問いに対し、改めて深く向き合い、ブランドの核を言語化・視覚化するプロセスが必要となるからだ。
このプロセスを通じて、企業や店舗の内部でブランドに対する共通認識が生まれ、従業員一人ひとりがブランドを体現する意識を持つことにつながる。
そして、この意識の統一こそが、ユーザーとのあらゆる接点における体験の質を高め、強固なブランドを築き上げるための礎になるといえるだろう。
デザイン統一のための具体的な要素
では、具体的にどのような要素を統一すればいいのだろうか。
以下に代表的なものを挙げてみたい。
ロゴマーク
ブランドを象徴する最も基本的な要素。
Webサイト、紙媒体、SNSアイコンなど、あらゆる媒体で一貫して使用することで、ユーザーの認知を促進する。
コーポレートカラー/ブランドカラー
企業のイメージを決定づける重要な色彩要素。
メインカラー、サブカラーなどを規定し、すべての媒体で統一的に使用することが求められる。
フォント
読みやすさはもちろん、ブランドの個性を伝える重要な役割を担う。
用途に応じてフォントを規定し、一貫して使用することで、ブランドの世界観を強化する。
写真・イラストのトーン&マナー
使用する写真やイラストの雰囲気やスタイルも、ブランドイメージを大きく左右する要素の一つ。
「明るくてポップな色使い」「ミニマルで洗練された雰囲気」など、ブランドに合ったトーン&マナーを規定し、一貫性を保つ必要がある。
成功事例に学ぶ!「統一デザイン」が築く信頼と安心
オンラインサービスが主体でありながら、ブランド体験のデザイン統一に成功している事例として、Airbnb(エアビーアンドビー)が挙げられる。
出典:Airbnb, Inc.
世界中のユニークな宿泊施設を提供するプラットフォームとして絶大な人気を誇るAirbnbは、2014年のロゴ変更を機に、「誰でもどこでも居場所が見つかる世界(Belong Anywhere)」というミッションを体現するブランドデザインを確立。
新しいロゴマーク「Bélo(ベロー)」は、人、場所、愛、そしてAirbnbの頭文字「A」を組み合わせたもので、Webサイト、アプリ、そしてホストが利用する各種ツールに至るまで、あらゆるチャネルで中心的な役割を果たしている。
あたたかみを感じさせる赤みがかったピンクをブランドカラーとし、シンプルなイラストレーションや統一された写真のトーンを用いることで、どのプラットフォームに触れても一貫して「あたたかいおもてなし」や「個性的で豊かな旅の体験」を感じさせるデザインを実現。
オンライン・オフライン問わず、ブランドの世界観を統一したデザインで表現することで、ユーザーはサービス全体に高い信頼と安心感を抱き、その信頼が同社の目覚ましい成長を支える大きな要因になったと考えられる。
Airbnbは、ブランドコンセプトを反映したデザインの力で「安心感を持って利用できるプラットフォーム」としての地位を確立した好例といえるだろう。
まとめ
Webと紙媒体のデザイン統一は、単なる表面的な美しさの追求ではなく、ユーザーに対する信頼を築き、ブランドの価値を高め、企業の成長を加速させるための戦略的な投資の一つ。
もし、Webと紙媒体のデザインがバラバラになっていると感じるのであれば、一度立ち止まって、自社のブランディング全体を見直してみる価値は十分にある。
統一されたデザインは、ユーザーの心に深く響くブランドを創り上げる、強力な武器となるはずだ。